靴下をはくまで
Seia

アラームは既に
スヌーズたぶん二回目

をあけても
すべてあけられない
からだぜんたいが
ひとしくねむい

無理やり
上半身をおこし
腰をひねる
ひねる

ゆるいあたまで逆算して
靴下
あと何分後に
はけばいいだろう

まだうすく
くらい部屋で(時間、あるね)
読み残しのものがあったはず

本棚のカーテンを
スライドさせる
真夜中に
冷蔵庫のドアをゆっくり
開ける気持ちで

でも
文庫本の隙間
その奥で目が合う

ここで何をされているのですか
聞こえすぎないよう
ちいさく問いかけると

わたしは
あなたによりそうために
ここにいるのです

わかるような
わからないような
わかったつもりになって
そうかそうか
というのはたやすいけども(わたしは)
はい(わたしは)
はいはい

わたしは
あなたがねがったから
ここにいるのです

そうだね
なんとなく
はなしが
ややこしくなりそうだね
シャツ
着替えるまで
あと何分
あるだろう

何度目かの
アラーム鳴りだして
気付く
とめるの
忘れていた

本棚の精霊
と呼ぶにはあまりにも
存在があやふやで
輪郭も
安定していない
まだ
本棚の奥から(わたしは)
聞こえる(わたしは)
あの
ごめんね
わたし
靴下はくね


自由詩 靴下をはくまで Copyright Seia 2016-02-29 21:38:02
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