ひかり
木立 悟




汽笛は尾を引き
遠いほうからかがやきになり
応えの兆しを耳にしながら
傷をまぶしく抱きしめている



水のかけらを見つめる間も
陰のまばたきは増えてゆく
とどろきは地平にはためいて
遠い震えを手招いている



たくさんの光が
高く高く積み重ねられ
静かにふたたびほどけてゆくとき
子らは肩の高さに腕をひらいて
ゆっくりゆっくり抱きしめてゆく
光は輪のなか降りそそぐ
小さな音たち降りそそぐ



渦へ 汽笛へ
自身から遠のいてゆくものへ
雪は応えつづけている
かがやきになり 夜になり
巨きなひとつの文字になり
街を土を描きつづけている
昇るものへと 降るものへと
応えをそそぎつづけている



卵から生まれないものが卵から生まれ
種から生まれないものが種から生まれる
人から生まれないものが人から生まれ
生まれ得たものたちの手をとって
空や地や水を駆けてゆく



光を何度も積み重ねては
積み重ねては崩してゆく子ら
転がりゆくのは音のかたち
こぼれる笑みは何のかたち
光はふたたび積み重ねられ
同じかたちと
異なるかたちを行き来する
降りそそぐ応え 降りそそぐ日々
降りそそぐかけらにひらかれる










自由詩 ひかり Copyright 木立 悟 2005-02-22 12:48:40
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