喝采
あおい満月

たくさんのてのひらが、
胸のうちをなでてくる。
私はその愛撫のあたたかさに、
目がくらみ、
行くべき路を忘れてしまう。
たくさんのてが、
雨を耳にあびせた。
たくさんのてが、
子どもたちを流していった。
たくさんのてからてへ
導かれて、
このからだは、
丘を抱いた。
たくさんのてが、
この背中にすみついて
私は両腕をあげると、
てたちは鳥になって丘から、
空へはばたいていく。

私は足元をのぞきこむ。
ぐつぐつと沸き上がるものが、
皮膚を満たしていく。
すると、
私のからだからたくさんのてが
生まれては私を愛撫していく。
私はいつかの子どもになって
てのひらの海を流れていく。



自由詩 喝采 Copyright あおい満月 2016-02-28 19:23:45
notebook Home 戻る