ふゆが終わる
かんな
ゆうぐれに
訃報がふたつ
覚えたてのことばを使う
無駄な行間を埋める
雷鳴がとどろき
過去に幕を引こうとする
落としてきたものと
忘れてきたものとはちがう
ついばんだ死について
ひざで絵本を広げる
指先だけでことばを紡ぐひと
段取りを思い浮かべる
食べるという行為
朝焼けを掴みかけ
凍った地面をけり損ね
光を浴びる
誰かの人生に何かを
刻めるかわからないから
甘ったるさを
側面にだけ塗っている
無言でチラとわたしを見た
過ぎ去るひと
小雨に立ち尽くすひと
人生に傘をさしだす虹のように
どこかに繋がっていく
ふゆが終わる