ふゆが終わる
かんな




ゆうぐれに
訃報がふたつ
覚えたてのことばを使う
無駄な行間を埋める
雷鳴がとどろき
過去に幕を引こうとする
落としてきたものと
忘れてきたものとはちがう
ついばんだ死について
ひざで絵本を広げる
指先だけでことばを紡ぐひと
段取りを思い浮かべる
食べるという行為
朝焼けを掴みかけ
凍った地面をけり損ね
光を浴びる
誰かの人生に何かを
刻めるかわからないから
甘ったるさを
側面にだけ塗っている
無言でチラとわたしを見た
過ぎ去るひと
小雨に立ち尽くすひと
人生に傘をさしだす虹のように
どこかに繋がっていく
ふゆが終わる




自由詩 ふゆが終わる Copyright かんな 2016-02-27 21:25:07
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