グレーゾーン
小川麻由美

曇天下の胸騒ぎ
足元には水銀の玉
手の平は鉛の重さに耐える
落ちる鉛は水銀を
アメーバに変化させる
行き場のない胸騒ぎ
行き場のない水銀
行き場のない鉛
曖昧さの温床
私に巣食う曖昧さ
私に付け入る曖昧さ
私に溶ける曖昧さ
黒と白 モノトーン
黒は地中深く潜り込む
白は天空を司る
黒の象徴的な重さは
執拗に顔を出しては
選択を迫る
白の象徴的な無垢は
執拗に純潔をかざし
選択を迫る
両極にある黒と白
狭間で もがくのは私
黒と白 ある種の残酷さ
選択のむごたらしさ
決断の絶望
グレーゾーンを渡る
揺らぎながら渡る
転んでは立ち渡る
曇天下の胸騒ぎ
ざわめきの居所は
私自身のはがゆさ


自由詩 グレーゾーン Copyright 小川麻由美 2016-02-27 15:08:57
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