生命
ヒヤシンス


 紫色の人工の夜空に駱駝は歩む。
 星から星へ、月の満ち欠けを慈しむように。
 鼓動は無数の星の瞬き。
 銀河のオアシスで緑の水を飲む。

 銀河鉄道の乗客はいまだ起きている。
 窓際に垂らした七色のランプは夜空に輝き、
 一等星の駅舎を目指している。
 遠くで惑星が赤く燃えている。

 夜明け前、西の地平線に向かって駱駝は歩む。
 銀河鉄道は最後の駅に向かい、
 夜空は天然の紫色になる。

 駱駝が地平線の彼方に見えなくなると、
 乗客を降ろした銀河鉄道は明け方の空に消えてゆく。
 東の空に新たな生命がふたつ輝いている。


自由詩 生命 Copyright ヒヤシンス 2016-02-27 04:24:07
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