尖る
はるな


手際よくまるめられた種
忘れてしまう いくつもの名前
ヒニカケラレタ薬罐みたく
だんだん焦げて死ぬ

焼却炉 幼いころ 怖かったものの多くは
いまでもわたしを守ってくれる
暖房の効きすぎた保健室
とか、
校舎裏の沈丁花とか
3階から落とす合図
とか

白いタイルには触ることができる
し、蛇口をひねれば水は流れるの
で、そんなに
そんなに

尖ることはないのだ
と思っても
ときどき ねがってみたりしても
皮膚は
いちまいずつ
疑いようもなく
尖る



自由詩 尖る Copyright はるな 2016-02-23 18:31:55
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