こえ
あおい満月

じゃりじゃり、
雑踏をかみしめる。
私の口のなかは、
色々な音で異臭を放っている。

あなたの声は、
とっておきたくて、
まだ白いお皿の上においてあります。
あなたの声は影のように、
透き通っています。
だから誰かがあなたの声を、
踏み潰そうとしても、
あなたの声はすり抜けていきます。

すり抜けたあなたの声は、
私の一番抉じ開けられたくない、
皮膚の切れ目へとしみこんでいきます。
そうして話したくない声とぶつかり合って、
私の目は赤い。
流れる血の声は、
低く深く、
私の喉を抉っていきます。
あなたの声は、
私の肉をくわえたまま
みえない壁をのぼっていきます。

あなたの声は、
あなたの声は、
すり抜けては私を見つめています。



自由詩 こえ Copyright あおい満月 2016-02-21 09:47:23
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