こえ
あおい満月
じゃりじゃり、
雑踏をかみしめる。
私の口のなかは、
色々な音で異臭を放っている。
あなたの声は、
とっておきたくて、
まだ白いお皿の上においてあります。
あなたの声は影のように、
透き通っています。
だから誰かがあなたの声を、
踏み潰そうとしても、
あなたの声はすり抜けていきます。
すり抜けたあなたの声は、
私の一番抉じ開けられたくない、
皮膚の切れ目へとしみこんでいきます。
そうして話したくない声とぶつかり合って、
私の目は赤い。
流れる血の声は、
低く深く、
私の喉を抉っていきます。
あなたの声は、
私の肉をくわえたまま
みえない壁をのぼっていきます。
あなたの声は、
あなたの声は、
すり抜けては私を見つめています。