紅
ヒヤシンス
真っ赤な薔薇に血の匂いを嗅ぐと、
私は過去を表現する雫で満たされた器となる。
そしてあなたの白い肌の内側に流れる真紅の清流は、
私の生きている理由そのものになる。
人はそれぞれに生きているが、
それはまるで大海に潜む秘密のようだ。
そうでなければ、真夜中のガラスに映りこんだ
もう一人の自分との格闘だ。
思想の奥深くへ旅する夢の中で、
私は生かされているのではなく、
全て自分の意志によって生きている。
力は無限に存在する。
私はあらゆる格闘の中で未来を表現したい。
たとえ薔薇が美しい紅に染まるとしても。