『労働賛歌』
座一



セールスマンが 私のこと 歌ってた
仕事で へこんで
お客さん この上もなく ひきつった笑顔で
見送ることしかできない

きっと 弱いのは
さずかりもの
つらいって 歌うのは わたしなんだ

人の苦しみが よくわかる
人の涙の 意味が分かる
痛みを知って 初めて
わかる人の 苦み


自分のことだけ しゃにむに考えて
鬼のお面を 抱えて もって歩いてる
そばにいたって 切りつけるばかりで
生き方が たいへんそうだな

きっと 嫌なのは
おかげさま
真実を 歌うこと できるんだ

こわばる身体 縮まる心
「もっと楽にね」って ほどかれてゆく
声をかけてもらって 初めて
わかる人の ありがたみ


お礼している人の 足元がきれいなように
わたしもそこに 自分を置きます

家族にも おもいやり
お花たち おなか減らさせないからね
生きている人たち 人 ひとりひとり
この言葉から 今 はじまりはじまり

おはようございます!

お、やるじゃん…やれるんじゃん
がんばってるね~って 頭のなかの控室で
ゆるんだお茶を 飲み干して

ちょっと自分が 好きになれた



自由詩 『労働賛歌』 Copyright 座一 2016-02-15 00:38:27
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