ピレネーの城
TAT
反対を押し切って画学校に進んだり川辺で寝たり
思えば俺の踏んで来た運命の道の幾割かは
十代の初めにあの絵に遭ってから
決められた事柄だった
無論それらを絵のせいにはしないけれど
真っ赤な葡萄酒を
購めたのも
注いだのも
俺だ
ただ胸を打つ絵の話
正確に言うとそれは絵でもなかった
挿し絵だった
配られた美術の教科書の
生きる事は笑う事だ
生きる事は苦しむ事だ
生きる事は戦う事だ
生きる事は進む事だ
生きる事は救いようもなく生きる事だ
自由詩
ピレネーの城
Copyright
TAT
2016-02-14 21:35:59