憐憫
ヒヤシンス
嘘を重ねた悲しみが川面を伝う。
橋の欄干は赤錆びて、真昼の幻想は鮮やかだ。
夢見がちな私の瞳は川岸に佇む鴨を見て、
何も聞かないあなたの瞳は私の真実の気配を探る。
あなたは何もかも見透かす力を持つ。
私の魂の暗黒部に貴い光はあるか。
幻想の中で真実は語られる。
その真実に存在価値はあるだろうか。
不確かなものへの愛情はあるか。
望みを断ち切られる覚悟はあるか。
他人を愛する勇気はあるか。
穏やかな川の流れに浮かぶ憐憫の情。
過ぎ行く時が夕暮れを呼び、鴨は去った。
新たな嘘の雫が私の頬を静かに伝う。