父へ
田園

父に趣味の悪い映画をプレゼントした、ら、彼はたいそう大事にそれを観てくれたので、ああ皆が皆年をとったのだと分かった。
白髪が増えて禿げてきて、どうしょうもなく可愛らしくなっていく父は、棚卸しで息子となかなか話せない。
私とは一生懸命話そうとするのだから、少し焦れったい。
息子も父も語らえばいいのにと思う私はただ、父の死が怖いので、見ないように見ないようにまた趣味の悪い映画をプレゼントするのだ。


自由詩 父へ Copyright 田園 2016-02-11 20:18:35
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