食べ残し
wakaba

鋭くとがった満月がふわり
さみしそうに浮いてた夜
かわいそうだから食べてあげたら
途中で胃がもたれてしまった

静かな夜
見て見ぬ振りをする夜空
食いかけの満月が恨めしそうに
僕を睨んでいる気がする

僕は魔女に叱られたから
部屋でひとりおとなしくしてる
時計いらずの部屋
窓辺につけたランタンを眺める

夜はあまりにくだらなすぎて
ひとり蔑ろにされているみたい

いつのまにか
満月は消えてしまった
放っておいたら知らない誰かに
取られてしまったみたい

僕の食べ残しだったのに
胃がもたれる味だったのに
知らない誰かさんは
そんな代物が欲しかったのだろうか

満月はいなくなってしまった
あんなにさみしそうにしていたのに
あんなに鋭くとがっていたのに
もう夜空には戻ってこないのだろうか


自由詩 食べ残し Copyright wakaba 2016-02-09 07:55:02
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