ネットサーフィン



電子端末の光に目が眩んだ。

目玉は乾ききったまま
情報の波に飲まれ
いくら沈んでも底は見えず
ドットの粒の集合体だけが
跡切れもなく発光するだけだ。

自分はただ好奇心の流れに身を任せ
自ずから動く事はなくとも
動画はこちらの意思とは関係無く
4年前の、10年前の、20年前の
映画の予告ばかり
坦々と垂れ流す

好奇心が満ちてゆく

頭に思いついたワードが
検索ボックスに映し出され
検索履歴に自分の思考の痕跡が残る
余りにもしっかり記憶されるものだから
どっちが自分の記憶だろうか
と錯覚してしまった

0と1でできた2次元空間
人工知能は遥か昔に
産みの親を飲み込んだ
今、それに映し出されるのは
虚構か真実か。

電子端末の光が目を貫通する
いたい、いたい
そう言いながらも人間は喜んで
自分から情報の波に飲まれに行く。

時間だけが置き去りにされたまま




自由詩 ネットサーフィン Copyright  2016-02-06 20:07:42
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