ネットサーフィン
枝
電子端末の光に目が眩んだ。
目玉は乾ききったまま
情報の波に飲まれ
いくら沈んでも底は見えず
ドットの粒の集合体だけが
跡切れもなく発光するだけだ。
自分はただ好奇心の流れに身を任せ
自ずから動く事はなくとも
動画はこちらの意思とは関係無く
4年前の、10年前の、20年前の
映画の予告ばかり
坦々と垂れ流す
好奇心が満ちてゆく
頭に思いついたワードが
検索ボックスに映し出され
検索履歴に自分の思考の痕跡が残る
余りにもしっかり記憶されるものだから
どっちが自分の記憶だろうか
と錯覚してしまった
0と1でできた2次元空間
人工知能は遥か昔に
産みの親を飲み込んだ
今、それに映し出されるのは
虚構か真実か。
電子端末の光が目を貫通する
いたい、いたい
そう言いながらも人間は喜んで
自分から情報の波に飲まれに行く。
時間だけが置き去りにされたまま