夜と海
無地

夜、センチメンタルな、意味のわかるような、わからないような、ありがちなのに、わたしだけのもののような、そんな言葉の群れをネットの海に放流した。
はるか遠くへと見えなくなって、海の量を増やすように泣いている。

傲慢で頑ななのを、まだわたしの中に飼っていて、
わたしが生き物を辞めること以外に、こいつと離れる方法はない。

今の一瞬とその連続が怖くて、考えたくないと思うほど、存在しない終わりを確信してしまう。

深海魚のおどろおどろしい歯が、海水を噛み砕いていた。
その口元から零れて沈む中に、わたしの涙がある。それも傲慢で頑なだ。
夜や海の一部にすらなれないことが恥ずかしい。それも傲慢で頑なだ。

喉にせぐりあげる空っぽの吐き気。わたしにはきっと、なにもわからない。


自由詩 夜と海 Copyright 無地 2016-02-06 02:52:30
notebook Home 戻る