『だまりたい』
座一



あちこちに 弱音を吐いて歩く


だまりたい


自分の傷を みてみてって ひけらかす


だまりたい


大切な人との秘密も 口走ってしまう


だまりたい



不安だから こわいから
愚痴れば 楽になるから
ひとりよがりの 言い訳ばかり
自分の価値を どこまで さげるつもり?
相手を 悪い気持ちにさせても 言いたいことなの?
あんなこと言うんじゃなかったって 自滅街道 蛇行運転
何度くりかえせば 学習するんだよ


気持ちだけが でしゃばって
どこまでも 有言無実行な わたし
褒めてほしくて ねだる口唇が
文句を言いながら とんがるんだ
あさはかさ
愚かな 自分め


かっこいいな あの人  
お近づきになりたいな
魅力的だな 憧れちゃう あの人のようになりたいな


しずかにすわる あの人の姿勢
あの人の つぐんだ口元
もくもくと 働く背中
何を考えるのか
何を知っているのか
伝えないことの わびさびだ



今度 何かを言いたくなったら
一呼吸 置いて
まずは ジブンに 話しかけよう


心許せる人 限定公開の
かいつまんだ 悩みのダイジェスト
だいじょうぶ これで満足 そう心が言うなら
きっと これは NEXT STAGE
ヒップ ホップ ジャンプしたい
自分の強さを 信じよう


それでも耐えきれなくなったら
聞いてくれる?
決壊したダムのような 涙付きの愚痴だけど
やっぱり ひとりでは 生きていけないもんね


でも 基本 だまりたい
今の わたしの 最大の課題
だから そばにいて
どうか 見守っていて


いつか 一人で 立てるようになれるまで
自転車の手を そっと離す
きびしくもやさしき おとうさんのように








自由詩 『だまりたい』 Copyright 座一 2016-02-05 22:11:35
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