テセウス (生体反応の設計)
乾 加津也
闇をのみこむものは
闇自身でも
ましてや光でもない
宇宙船テセウスは、いまも応答がなく
どこかの系に存在し、また別の彼方に向かっています
船内を這う、動脈(はいかん)
微かな明滅が、呼吸(いき)のようです
虚ろを捉えるほどの力はなく
もはや消え入るほどに
微小にもなれません
ゆく河の流れは絶えずして
代替系統(ことば)の親指の腹で
アダムの喉仏を押しつぶす
それは
音でしょうか
テス、順列の鉄面皮
テス、産毛(ビロード)の洋を漂い
テス、何物かであろうとする、謂れとも
テス、関連させます
炎なら下へ
どうぞ
わたしが生まれる、ずっと前がやってくる
熟れた乗組員
わたしのこと切れは
またその向こう