障子
春日線香
坂の突き当りの家の縁側に
障子を開け閉めしている人がいる
朝からずっとそうしているのだ
狂っているのだろうか
と思い
それから
あんな風になるのも仕方のないことだ
とも思い
人に言うのが憚られる気がして
息を詰めて見守っている
あんな風に障子を開け閉めしていては
いつ外れてもおかしくないし
そうなってしまってはなにもかも遅いのだ
第一、夜になってしまえば
どんな苦労も無駄なことだ
やめればいいのにな
などと見ているうちに
屋根の上にからすが集い
今か今かと待ち構えている
自由詩
障子
Copyright
春日線香
2016-02-04 21:06:59
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