なにもかも
平井容子


・NEWDAYS

飛び降り
宙ぶらりんで嗅いだ春は
甘かったかな
苦かったな

コーヒーと海を混同したまま
電車はくさる肌の上を黙走していく



・ドーナツ

暴力と真水のあわいにある光
なつかしいと言えば全て許されると思った
人差し指と親指で作ったトンネル
手探りで過ぎるころ
からだの内側はもそもそと千切れている



・ベローチェ

ほしがるものを知るために
それ以外をすべて飲みほした、そうだね?

向かい合って座る
きみは一億光年先で燃え続ける

席を立つ
雨なのか汗なのか涙なのか海なのか
なにもかもひとつになって



自由詩 なにもかも Copyright 平井容子 2016-02-04 16:42:43
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