蜜柑
梅昆布茶
冬が通りすがりに蜜柑をひとつ
窓辺へ置いてったようだ
不用意なこころはすぐ凍傷にかかってしまうから
ちょっとした季節の気遣いにも丁寧に礼を言おう
ざわざわとした毎日を蹴飛ばし
転がして陽はまた沈んでゆく
だからまた少々の変化をつけて
ささやかに一日を組み立ててゆく
ときどき生活を解体するつもりで
あらたな空気を取り入れようと試みるも
身の丈が精一杯で僕の冷蔵庫は空っぽのまま
オレンジって
けっこう好きなんだ
once an orange
always an
orange
きみの言葉が理解できないんだ
斬新は魅力的だが
いつも通り纏っている襤褸の
惑星も愛着を捨て難いもの
パステル画のような朝が好きだ
論理和と論理積ではいまは生きたくないから
ヒューバートロウズの(春の祭典)を聴きたいとおもう
ときどききみの唇をおもいだす
ちょっと冬の蜜柑みたいな
無垢な平和主義者なのかもしれない