おまえだけがいない
宣井龍人
エネルギッシュなはずの街を見回しても
私以外は答を導くことが出来ない
時計が回るだけの何の変哲もない日常
下を見ても上を向いても川は流れる
なぜ いないのか
なぜ おまえだけがいないのか
途方もなく何処かに置き忘れたかのように
腐りかけた写真が表情を変えることなく笑う
脱ぎ捨てたい鬱陶しい日々の繰返し
流したくもないつまらない涙も落とす
情けない人ね もう許してあげる
渇いた土をかき分け戻って来て欲しい
朽ちたおまえが表情を変えることなく笑う
いない おまえだけがいない