透明な手
nonya
あなたが笑っている
あの頃とちっとも変わらない笑顔で
透明な手が拍手している
わたしの胸が温かくなる
あなたが俯いている
心無い言葉の礫に打ちひしがれて
透明な手が拒んでいる
わたしの唇が凍えている
いつからか見えるようになった
透明な手
わたしが迷った時は
しなやかに手招きしてくれて
わたしが塞いだ時は
ふわっと背中を撫でてくれる
本当はわたしが
あなたを選んだ瞬間からずっと
わたしの傍に佇んでいてくれたのだろう
透明な手
なかなかそれが見えなくて
ずいぶん遠回りしてしまったけれど
今は透明な手を信じる
ほんのり甘い風よりも
きらきらした石ころよりも
正しすぎる道標よりも
透明な手にたくさん
拍手をしてもらえるように
あなたの笑顔を守り続けたい
わたしが透明になる日まで