お通しカットで
もり


店長がいないということで
副店長はパンツも履かずに出勤した
すた丼と芋焼酎と二酸化炭素の混じった息を
ぶちまけながら
「今日は好き勝手やらせてもらうぜ、ひっく」
もちろんこっちもシラフではない
だが次元が違った
火野正平と
ペットショップのうさぎくらい
次元が違った
出勤してきた女子高生にいきなり
「よっ西郷隆盛ぃ!」
ってあだ名をつけて泣かすし
いちばん最初の客には
ひじきのかき揚げだと言い張って
断固として譲らないし
(本当は自分の陰毛だ)
そのくせ出迎えをしたがる
当然 だれも入店できない
調理長は開店前に中華鍋で殴打された挙句
冷蔵庫に放置されてると坂本は言うし もうまったく、
こちらのほうとしても
酒がとまらない
クビを切られたことはあっても
クビを折られたことのない連中の
乱痴気
朝方の
赤色灯まで
駆け抜ける ダダダダダ


自由詩 お通しカットで Copyright もり 2016-01-27 23:35:52
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