学生時代
枝
戻りたいかと聞かれれば
大して戻りたくもないが
あの頃の私は
非常に無垢で痛々しく
真っ直ぐに生きていたな、と
ふと思い出した
あの頃は
『好き』という感情に敏感で
勉強そっちのけでいつも
『好き』な音楽、『好き 』な作家
『好き』な漫画、『好き』な映画....
沢山の『好き』を見つけ出し
毎日『好き』な物を大切に育んでいた
そんな新鮮で、輝かしい日々
あの頃の仲間は散り散りになり
きっともう混じり合う事はない
馬鹿みたいな話で盛り上がり
帰りの電車の中で未来を語らい
放課後の教室でパンを食べながら
理由もなく最終下校時刻まで
帰らなかった何気無い時間は二度と
戻ってくる事は無いだろう
そんな懐かしい
目が眩むような日々は
わたしのかけがえの無い
宝物となって
わたしの未来を照らしている