悪 夢
塔野夏子

自分の外側にぴったり貼りついている世界を
引き剥がしてゆく
すると
自分の内側にぴったり貼りついていた世界も
剥がれ落ちてゆく
すっかり引き剥がし終え
剥がれ落ち終えて自由になった
と思っても気づいたらいつのまにか
外にも内にもまた世界が
ぴったりと貼りついている
だからまた引き剥がす
また剥がれ落ちる
けれど気づくといつか元どおり
これを繰り返しているうちに
外と内との界面にすぎない自分に気づいて
ふと怖くなる





自由詩 悪 夢 Copyright 塔野夏子 2016-01-21 22:19:52
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