カマドウマ
非在の虹

カマドウマは笑う バスルームに人はいない
カマドウマは糞をする バスルームに水音が響く
カマドウマは眠り、目を覚まし呟く
わたしは哲学者だ と

キッチンの片隅のカマドウマは妊娠している
胎に溜まった大量の卵が
カマドウマを幾分苛々させている
だからどうしてもジャムプが右へ逸れるのだ

深夜、私はこっそりとあいつらの様子を窺うのだ
あいつらほど私に無防備なやつはいない
バスルームで不可避のジャムプを行う

カマドウマは高笑いをしている
廊下でドアの前で、そして寝室で
ベッドに登り、触覚を振り乱し、私に好意の眼差しで飛び掛る


自由詩 カマドウマ Copyright 非在の虹 2016-01-18 22:11:26
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