ふしだらな体温計
アラガイs


わけのわからないことを口にして
君を本気で困らせたならごめんね
群れた羊の子が垂れた乳首から甘い汁を吸い込む
鋭い目つきの梟が二番めの枝からそれを見てる
長い夜を耐え偲ぶには手触りが欲しい
満月には枝の隙間から灯りが射し込んでやわらかな毛を照らす
触れあうだけのぬくもり
呼吸するなまなましさが恋しくなっただけかも知れない

これは微熱だよ
わけのわからない言動に僕たちはいつも困惑させられる
周囲を見てごらん
世の中を照らす灯り
みんな愉しそうに顔を歪ませては生きているじゃないか
夢で眼が覚める度に僕は鏡をみつめる
風もないのに醜さの右側と左側が比例して
自分だけが不幸者だと哀しい顔を怨む
君は僕を対象に君自身の世界をみつめる
癒しを欲しがり愉しい会話を要求するけれど
、真実不幸者が笑い合うとき
それは、這い上がれないほどの底辺に気力を無くした哀しみの最中にあって
互いに冗談を言い合いながらも心では泣いている
ちょうど葬式の最中に空気を一変して見せる乳飲み子
いらいらしながら無邪気な横顔を見せる栗毛の子供のようにね
だって対面する正装の笑いは腹の底で懐疑に充ちている
哀しみにいつ攻撃を仕掛けてやろうかと含み笑いを内臓に隠し持ったまま
ぬくもりは放物線を描き冷めていく
、一体何度に調整されなれければ気は済まないの?
そんな哀しみを笑い合えない嘘など僕にはつけないよ 。









自由詩 ふしだらな体温計 Copyright アラガイs 2016-01-18 03:08:24
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