敵は、メロン
umineko

メロンは敵だ
メロンは食べ手を選ぶ
メロンのくせに
メロンのおいしさはメロンが決めている
早すぎるとただの瓜
遅れるとだらしなく崩壊
絶妙のタイミング
決めるのはいつもメロン

難関を乗り越えて
お皿の上にはムーンスマイル
だがその香りにだまされてはならない
最初は、甘く
ふた口めは、甘さと弾力
瑞々しさと歯ごたえと
しかし
それはどこまで続く

そのまま進みゆく
すると同じ歯ごたえで
スウィートだけが枯れていく
まさか、と思って追いすがる
やがて
スプーンをも拒絶
頑なに首を振り
固さと苦さが残るだけ
呆然と
お皿の前にたたずむと
私を
深追いしてはいけません、と
慰めめいたムーンスマイル
翻弄した者だけが
許される勝者の笑み

メロンは敵だ
生ハムなんかといちゃつくな
君はボクのもの
だったじゃないか

君はボクの
  




自由詩 敵は、メロン Copyright umineko 2005-02-20 22:46:48
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