円状の王国
日々野いずる

現実に哀れまれている人を見よ
彼らはいかにも自由そうではないか
その言論を封鎖されもせず
気にせず何もかもを取り払った楽園にいる
この世界はどうだ

いったいどうなっているって
誰が答えをくれるというのか
僕の自我が封鎖され
型に嵌まった嵌まらされた
嵌まり込んだその形は
完璧な円状に近い

朗らかな声で明るい口説き文句で
白い顔を笑みに崩し
手を握り締めて爪を食いこませている
その形は完璧な弧に近い
きっと完璧な僕が還るところは完璧だ
だから玉の点を取り払って
ひとりの国を築く

封鎖された自我で描くものは
楽園ではない
決してそんなような所じゃないんだ
冷静さで震えあがるほどの円状


自由詩 円状の王国 Copyright 日々野いずる 2016-01-16 10:35:17
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