古都
ヒヤシンス
銀色の翼が西の空に消えてゆく。
北鎌倉の西洋館の二階から遠く、由比ガ浜が見える。
手の平ほどの水平線に鳥たちは集い、
冬枯れの歌を歌っている。
坂道を下れば、秋が忘れていった落ち葉が枯れている。
さわさわと吹き抜ける冷たい風に季節の前進をふと思う。
わずかばかりの精神の進歩を漲る体力で感じる。
気がつけば手の平のしわが増えている。
ゆっくりでいい。
宙へと続くきざはしの真下に私は立っている。
刻む一歩に焦りはいらない。
人の言葉に支えられた現実をのみ見つめよう。
傷ついた日々は静かに流れ去り、
古都に響く鐘の音を今この胸に刻み込む。