古都
ヒヤシンス


 銀色の翼が西の空に消えてゆく。
 北鎌倉の西洋館の二階から遠く、由比ガ浜が見える。
 手の平ほどの水平線に鳥たちは集い、
 冬枯れの歌を歌っている。

 坂道を下れば、秋が忘れていった落ち葉が枯れている。
 さわさわと吹き抜ける冷たい風に季節の前進をふと思う。
 わずかばかりの精神の進歩を漲る体力で感じる。
 気がつけば手の平のしわが増えている。

 ゆっくりでいい。
 宙へと続くきざはしの真下に私は立っている。
 刻む一歩に焦りはいらない。

 人の言葉に支えられた現実をのみ見つめよう。
 傷ついた日々は静かに流れ去り、
 古都に響く鐘の音を今この胸に刻み込む。


自由詩 古都 Copyright ヒヤシンス 2016-01-16 05:30:25
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