帰る
北村 守通

帰るとは
ふりだしに戻ることであった
帰るとは
ひとりぼっちに戻ることであった
帰るとは
ひとりですること以外の選択肢を失うことであった
帰るとは
下校のチャイムの様に
何かの終わりを告げる音だった
もうすぐ
顔の輪郭をなくしていく
もうすぐ
声が聞こえなくなる
記憶を頼りに
組み立てた再現データが
記憶とかみ合わなくなりぎくしゃくする
そして
諦める

もうすぐ
頭の中が真っ黒になる


自由詩 帰る Copyright 北村 守通 2016-01-15 13:34:03
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