無の気配
陽向∮

消えてしまったよ
いくつも重なっていくうちに
それらは透明になって
ゆらいでいるのさ

何処かへ
風はすがた無くすすむ
僕の体温をひやしながら
斜めにばかり向かっていく

もうなんにも考えなくなった
手の平の上に 蜜柑をのせて
それが蜜柑であれば
それを無の目でえがいている

おおきな木の下 大きな陰
この木の気配を常に感じる
木はこれからも大きくなる
陰はますます大きくなる


自由詩 無の気配 Copyright 陽向∮ 2016-01-13 15:08:29
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