あおい満月

この腕にしがみついた、
性という薄皮の、
一枚一枚をゆっくりと剥いでいく。
そこには薄く赤みを帯びた痛みが咲いている。

煙で見えなくなった、
風呂場の鏡に映る、
あらわになった腕や脚、
緩い曲線を描く胴体、
私というすべてを今すぐ、
その細く熱く力強い腕に刻みたい、

花を生けるように、
私は私を完璧な形に仕上げようとする。
けれどそうすればするほど、
グロテスクに近くなる。
その理由はわかっている。
私は私に架空の美を、
餌のように与えているから。

自分の美徳に喰い千切られ、
骨と皮だけになる。
この連鎖をいくつ繰り返してきたか。
私の口は蟻になって、
私という大きく育った巣を喰っている。
蟻になった私たちは、
次に喰らう巣を探す。
席から席へ、
空の受け皿を片手に。



自由詩Copyright あおい満月 2016-01-12 22:56:12
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