星界の消息
塔野夏子
星界に想いをはせることと
君に想いをはせること
そのときめきはよく似ている
君を見るとオリオンの昂揚
シリウスの凄烈を感じる
すばるの繊細 スピカの清純
アンドロメダの優美も君に見え隠れする
フォーマルハウトの静寂 北十字の凜然
薔薇星雲の可憐
さらには時に蠍の艶麗さえも
いやもしかしたら
えりすぐりの星たちがこっそりと地上に降りて
ひとのかたちをとった星座 それこそが
君なのではあるまいか
だとしたら
君はある日ふいに星界へと
還ってしまうのではないか
その日が少しでも遠くあるよう
祈るしかないのではないか