冬の詩
ヒヤシンス
冬になるたびに訪れる山荘のウッドデッキに霜がおりている。
木のテーブルを挟んで二脚の籐椅子が向かい合っている。
一方に腰かけている麦わら帽子はきっと誰かの忘れ物。
もう一方に腰かけた私は暖かい珈琲を啜る。
夢見がちな幼い私は自然に接するたびに現れる。
世の中の厳しさとはなんと苦い言葉だろう。
さすらう旅人は心に厳しさを持っている。
内面の厳しさは世間のそれをはるかに凌駕する。
私のさすらい人は今どこにいるのだろう。
厳しさの奥に潜む無限の優しさを持つ人よ。
麦わら帽子は彼や彼女の忘れ物かもしれない。
今年の冬もこの山荘で過ごすことになりそうだ。
そろそろ雪になるだろう。
冷めた珈琲を啜りながら誰かの手紙を待ち侘びる。