冬の詩
ヒヤシンス


 冬になるたびに訪れる山荘のウッドデッキに霜がおりている。
 木のテーブルを挟んで二脚の籐椅子が向かい合っている。
 一方に腰かけている麦わら帽子はきっと誰かの忘れ物。
 もう一方に腰かけた私は暖かい珈琲を啜る。

 夢見がちな幼い私は自然に接するたびに現れる。
 世の中の厳しさとはなんと苦い言葉だろう。
 さすらう旅人は心に厳しさを持っている。
 内面の厳しさは世間のそれをはるかに凌駕する。

 私のさすらい人は今どこにいるのだろう。
 厳しさの奥に潜む無限の優しさを持つ人よ。
 麦わら帽子は彼や彼女の忘れ物かもしれない。

 今年の冬もこの山荘で過ごすことになりそうだ。
 そろそろ雪になるだろう。
 冷めた珈琲を啜りながら誰かの手紙を待ち侘びる。


自由詩 冬の詩 Copyright ヒヤシンス 2016-01-09 04:52:17
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