木香薔薇の洋館
もっぷ

木香薔薇がゆるされるほどの塀にアーチ、
くぐってドアを叩くが 大きな洋館
やっとわれに返って呼び鈴だと気づいた
鳴らすが、待っても静かなままだった

身なりは精一杯に整えている
精一杯だった ここまで来るのも
何もかもを売り尽くして切符を買って
この街に辿り着き、帰りのことは考えていなかった

日も暮れて木香薔薇はしばらくライトアップされていたが
やがて消え 夜のなか取り残される形となったわたしは
、叫んでみた 開けてください! 開けてください!

開けてください! 開けてください! 開けて!

未明まで待って諦めてわたしは明らめてそして
無事に身元不明の川流れとなり
川流れとなり、

ママ!



自由詩 木香薔薇の洋館 Copyright もっぷ 2016-01-09 02:43:24
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