ふゆのこども
もっぷ

駅にゆく道すがら
こどもがしゃがんで俯いている
俯いた背中が震えている
泣いているのだとわかった

道行く人を視ていると
みな邪魔そうに避けていく
なかには蹴とばす真似をして
薄ら笑っている人間も

声を掛けるにかけられず
隣りにそっと寄り添ってみた
背中をさすってあげる代わりに
ばらばらに切られている前髪を撫ぜた

その前髪だけですぐにわかった
着ている物でもすぐわかる
冬なのに つんつるてんのセーターだけ
冬だから 手指があかく滲んでいる

切ない想いを持て余しながら
この場を立ち去らないと とわかった
この子がもっと凍えてしまう
わたしは真冬の北風だから



自由詩 ふゆのこども Copyright もっぷ 2016-01-08 17:50:18
notebook Home 戻る