横顔
凍月



横顔とは
君の横顔が見える、という事は
なんと切ないものなのだろう
その視線が此方に向く事はない
僕は君の横顔を見ているだけで
それ以上、何も出来ない


膚の下の肺の中を
冷たい風が吹き抜けるような
肺胞の構造体を
銀のナイフで切り開かれるような
君と僕との記憶なんて
一つたりとも持っていないのに
ナニカが消えていくような錯覚を
君の横顔を見ていると感じる

体温調節機能はミスをし始め
循環系は感情の栓で塞がれ
目は逸らす事を許されない
鼓動を一定に刻む装置は
惑わされ狂わされ変調子になって
構築された理性が
優しく破壊されていく

金属にドライアイスを押し当てる
そんな音を立てて感情が軋むんだ
好き と 切なさ の相反する2つが
乱れ狂い交響曲みたいな渦を巻く
対極の温度差が埋まらない矛盾で
どうして僕は霧散していないのか
不思議になるくらいに胸が苦しい


君が視界に入っている
それだけで幸せだけれど
けれど…





…けれど もう
盲点よりほんの少し
内側に
君を映す事さえ--つらいんだ





自由詩 横顔 Copyright 凍月 2016-01-07 21:09:34
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