暁光
イナエ

空と海の混沌に
突き刺さる黒い陸の先端
に白い少女が立っている

淡い彩りが現れ
生まれた風が海を押す
押されて海は岬に駆けのぼり
少女に白い言葉を飛沫く

潮鳴りにひそむ遠い記憶の
深奥からひびく声は
潮風に秘められた母のにおい

少女は髪を乱す過去の
音やにおいを振り払い
胎動する気配を見詰めている

混沌に裂け目が生まれ
忍び寄る未来の予感が
少女を包み始めるとき

弧を描く海に
捲れ込んだ空を
赤い玉がよじ登り
一条の光りを少女に届ける 


自由詩 暁光 Copyright イナエ 2016-01-07 15:15:49
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