神の座
いねむり猫
島の西側には 人は住まない
西方浄土に開かれた島
穢れのない 輝く砂浜が 所々に小さく開かれて
海からの精霊たちが 少しの間休むための 青の洞窟
島を縁取るガジュマルの分厚い林が 分けようとするのは
人の住処 と 神々の座
ガジュマルのねじれて絡み合う根のような妄執 と
空と海を区別しない大地の時間
黒く垢にまみれた船板 と 流木の白さ
海辺ではしゃぐ子供たちの声 と 嵐の夜の咆哮
強い酒に瞳を濁らす男 と 潮風に孤独に座す老婆
この島に人は似合わない
それでも 神を思う人が 密かに住む
神の座を心に置ける人だけが