冬の散歩路
レタス

武蔵野のクヌギ林にわけ入り
落ち葉の絨毯を踏みしめる
聴こえるのは小鳥のさえずり
静かな一日が過ぎてゆく
木の幹に耳を当てても
冬に水の音は聞こえない

ぼくは帰る路を忘れて
時計の森に誘われてゆく
化石の街には戻れない
あまりにも静かで
方角を失い
足音だけがぼくを優しく誘う

ぼくは何処からやって来たのだろう
日暮れのフクロウ博士に聞いても
コロコロと首を回すだけ

迷路を彷徨いながら
深い森に入ってゆく

記憶が少しづつ失われ
足音だけが冷えた肩を抱き締める


自由詩 冬の散歩路 Copyright レタス 2016-01-01 17:40:17
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