すべりだい
あおい満月

口から耳を吐き出す。
耳は目になって排水口を流れていく。
目になった耳は明日の壁を踏みしめて
雑踏を突き進む。

耳が吸い込む声は、
いつだって罵倒と嘆きだ。
けれど耳は、
罵倒の皮を剥いで、
小さな真実の声を聴く。

聴こえてくるのは、
体温から伝わる言葉のない
あいのうた。
耳はあいのうたにのって、
まだ未知の琥珀の海を漂う。
琥珀の海で耳は一つの指と出会う。
耳は指と一つの時代をつくっていく。
ごらん、
沢山の耳と指が、
一斉に滑り台を滑っていく。



自由詩 すべりだい Copyright あおい満月 2015-12-31 00:32:33
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