鷲田

夏の灼熱の熱さを
秋の黄昏の温度を
凍てつく冬の露の滴を
桜は見ている ただジッと動かずに

桜はその時、何を感じているのだろうか
辛さか
孤独か
悲しみか
何も語らずに 桜は黙して居る
桜が待つ時間
長い月日の間

朝に私は待つ 感情を抱き
昼に私は待つ 感受性に靡き
夜に私は待つ 思考の束縛に
何日も、何か月も
来る日も、あくる日も
待ち続けている
動くことに 教訓のない自由な空間を
渇望をしながら

4月 桜の花弁が咲く
ピンク色が春の景色に映える
春が訪ねるその日にも
何も語らず、何も訴えず
待たねばならぬ長い年月の後に

ヒラヒラと舞うその姿
苦悩もなく、後悔もない
ただ咲いて ただ散るだけの姿
ただ咲いて ただ散るだけの命
1年の季節と共に生きた後
全てを受け入れて、待ち、表現し、去っていく
それが定めだと知って

桜の花々よ
私はそんなあなたの姿が好きだ
その中には人生の縮図が息づいている


自由詩Copyright 鷲田 2015-12-30 00:27:51
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