リアリズム
鷲田

わたしはわたしの世界を見る
薄ぼんやりとした世界の表情を
いくつもの闇の交わり 
いくつもの光の温もりを

わたしはわたしの世界を見る
とぼけた朝の鋭敏な世界の景色を
悲しみの重なりや 
幸福の来訪を

わたしは我らにはなれない
世界を見つめる時
可哀想に
君は君の世界を見ている
確かに 一人の人間として

皆で世界を見ようとする誠実さは
横暴な願いだ
独りの人間に対する粘ついた束縛だ
合理的な空間をもつ我らのゆえに

今や我々はそれぞれが乖離している
個々の個だ
独りが独りで 一人が一人だ
それを孤独とは言うまい
それを定めとは言っても

可哀想に
今日もわたしはわたしの世界を見ているだけだ
それがリアリズムだとしても


自由詩 リアリズム Copyright 鷲田 2015-12-24 19:15:43
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