寒い部屋
弓夜

いつものように
信号が赤から緑に変わって
歩き出して
家に帰っているよ

まだ君の香りが少し
残っていて
もったいないし寒いしで
窓も開けられずにいるよ
最初はちゃんと感じてたのに
慣れてきて忘れて
そのくせ
外から帰れば気がついて
憎らしいのに消せないよ

こんな風になってもまだ
君が何を考えていたのかなんて
わからないんだ

ずっと抱きしめて離さないでいたつもりだったけど
全然だめだったんだね

ぼくがいけなかったんだ
君は何も悪くないから
ぼくが悪いんだから
君はもう泣かなくていいから
ぼくがいつも君を笑顔にしたかったけど
それはもう僕じゃなくていいから
君がまた笑顔になってくれるなら
ぼくはこの寒い部屋で君のあたたかさ
思い出せるだけでいいから



自由詩 寒い部屋 Copyright 弓夜 2015-12-23 21:59:48
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