憐憫とかぼちゃのパイ
日々野いずる

柚子の白い綿をつみあげて
ふう、と吹いて飛ばした幻想
あずきをひとつひとつ積みあげて
空っ風に突き崩された夢
かぼちゃを練り込んだ生地のパイ投げをする日

誰もいない日常は
白く白く光ばかりさえている
眩しくて見ていられない

みんなの背を追いかけているようで、
追い越されているようで
それでいて淋しくなったり悲しくなったり
して
だからと言って
決して
決して先を行っている人を
決して素直に、すごい、だなんて言えやしない

うらやましい、とも思えない

自分の中にある渦巻く情を
はみ出せもしないこの日常に
捧げ

憐憫と後悔のパイを食べて飲み込んだ


自由詩 憐憫とかぼちゃのパイ Copyright 日々野いずる 2015-12-22 11:22:51
notebook Home 戻る