うすくらがり
ふるる

ぞんび

ぞんびがやって来る。
廊下の向こうから
のそーのそー

膝を抱えて
鍋の
煮凝りを
見て
いる

膝の二つの丸い丘
なでなで

凍える身体に
小声で話しかけて
みる

鷽っていう鳥
照鷽てりうそはオスで
雨鷽あめうそはメス
なんで?
琴弾鳥とも
言いますよ
足が琴を弾くようだから
ことこと。
はあ
はああ

どこにも出かけたく
ない
肩が痛い

うっすらと見えてくる
うっそうとした林に
歯を立て
爪を

霜で口が
指が
冷たい

凍える身体
ゆすって
みる

ゆすらうめ
山桜桃と書きます

ないじゃん

膝の二つの丸い丘
なで
なで

うすくらがり
ひとりも
なんか
たのしい

ぞんびはまだ
廊下の向こう

のそーのそー




自由詩 うすくらがり Copyright ふるる 2015-12-21 16:11:13
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