∝-1
もり

彼女たちが
致死量ギリギリの寂しさを標高1982mで微温湯に溶かし眠り姫になるそのまえに
彼らが
キッチンタイマーの音で目覚め
マジックミラー越し虎柄セーターの看守に連行される
そのまえに


ドーム




のように


ろ !
男たちが
満員電車の凹みに溶けてゆく
女たちが
0.05の裸眼に伊達眼鏡をかけ
まだ血の付いた毛皮をはおり
夜の街へ繰り出す
子どもたちは言葉を忘れ
銃口の向け方と安全レバーの外し方を覚えていく
老人たちが
病棟のアルコールスプレーを飲み干して昏倒する 夜勤者とともに






煙幕に







か ?
私たちはふいに心と身体の別離を知らされる
どちらかが

なのだろうか?
国会議事堂には触れてはいけない
マニフェストには触れてはいけない
説明会のパンフレットをめくってはいけない
面接官とは握手してはならない
女のカバンに剃刀を仕込んでは
いけない
(艶出しの油が乾くまで)
ビックエコー立川店13号室の
ロックスター つまり
高尾駅南口 和民の小上がり
昨日の忘年会の占い師さん、

「お、尾落っことしてますよ

「」「」「」
「」
「」

空白の鉤括弧が埋められるそのまえに
平行四辺形の中で鈴の音だけが現実そういった類のサンタクロースが鏡餅を工場から出荷

・・

・・・・・

・・・

いくつもの干からびた尾が
打ち付けられて
アスファルトの上で作る文字

やめないで、

いったいどれくらい生きるおつもりの生き方をしてるんでしょうか?

海鼠のような黒いベレー帽を被ったおじさんが林檎の木の隣で喚いている



自由詩 ∝-1 Copyright もり 2015-12-20 00:24:54
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